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銀の鳥 第一話
「何で俺が星流しにならないといけないんですか!!」
声がホールに響く。俺は今協会内にある裁判所みたいなところにいる。傍観者ではなく、罪人として。
「スクランゼ殿、第五位の称号を与えられている君が、なぜそんなことをしたのかね」
確かに、俺はある重大な罪を犯した。しかし……
「確かに罪を犯したのは事実です……が、それは任務であったためです!」
そう、罪は犯したが、それは協会からの任務であったからだ。
「我々は罪になるような任務は任せない。何かの間違いじゃないのかね?」
違う。俺は協会の長・・・第一位の称号を持つ人からの直々の任務を請け負った。
実際、任務関係の調整をしているのは位の称号を持つ俺達だ。
「俺は第一位の命に従ったまでです!どうかご確認ください」
「第一位……ローフルの命に従っただけ、というのかね?」
ローフルとは、第一位の称号の俗称のこと。俺は第五位であり、シューニャという俗称を持っている。
基本的に、位の称号を持つものたちのことは俗称で呼ばれる。
ローフルとは秩序のこと。全の属性をもつ第一位、ローフル。
全の属性とは、全てがあるということである。社会は秩序があるから成り立っている。
秩序は無からは生まれない。全てがあるからこそ、秩序が生まれる。
少しこじつけに近いが、実際決まっているので仕方ない。
俺は無の属性であるからシューニャ。シューニャとはゼロという意味だ。……そのままだがな。
「実際に記録が残っているでしょう?ちゃんと確かめてください!」
ちなみに、位の称号は13個ある。そのなかでもトップクラスなのが第九位までの位を持つもの。
全員違った属性を持っている。協会に所属しているもののなかで、その属性に一番長けているものが位の称号をもらえるのである。
「話を聞いていないのかね?そんな記録はどこにもないんだよ」
・・・嘘だ。そんなわけない。
「そんな……はずは……」
下を向く。
「実際記録がないからどうしようもないのだよ。君は罪人だ。これはどうやっても覆らない。さあ、どちらかを選んでもらおう。罪を償うか、このまま生涯を終えるか」
味方はいない。唯一の証人、ローフルは欠席。
「もう一度……内容の確認をさせてください……」
もう、あきらめるしかない。無理難題とも言われる星流し。これを受けるしか、俺の生きる道はないのだ。
「繰り返そう。選択肢は二つ。ひとつは星流しである。内容は、第八惑星に存在する宝石、アレキサンドライトの回収。もうひとつは、このまま協会に残るか」
第八惑星のアレキサンドライト……この惑星のアレキサンドライトといったらひとつしかない。
ここにいる誰よりもそのことについては知っている。第八惑星……そこは俺の故郷なのだから。協会に残るということは生涯を終えると同意。
「……」
第八惑星のアレキサンドライトは特殊で、星ひとつの環境を変えてしまうくらいの魔力がこもっているらしい。
実際、あの宝石のあるところでは四大鬼神なんていわれる、協会の位の称号を持つものですら勝てるかわからない実力者達が守っているし、
アレキサンドライトに頼っていたからこそあの星は栄えたのだ。実物は見たことないが、大きさは直径5mはあるらしい。
その宝石を、協会はのどから手が出るほど欲しがっていたのも事実だ。あの宝石があれば、全ての惑星を完全に統治することなど容易いだろう。
「しかし……あの惑星は……」
俺の故郷の第八惑星は、その宝石があるからこそやってこれたのだ。それを奪うなんて……。
「君に他の選択の余地はない。すぐに結論を言いたまえ」
奪ってしまったら俺の故郷は悲惨な状態になるだろう。そもそも、奪えるかどうかもわからない。
……これが星流し。苦渋の選択。しかし、生き残るためには受けなければならないのだ。
「……わかりました。シューニャ、第五位の称号を持つシルバード・スクランゼは、第八惑星のアレキサンドライトを回収することを誓う」
ダン、と木槌の音が響いた。
「期日は明日の午前0時から二年間。この第一惑星に午前0時になった時点で貴方の存在が確認された場合、排除の対象になるので注意されたし」
現在時刻、午後5時。あと7時間以内にこの星から出なければならない。サッと踵を返し、このホールから出る。
裁判に30分もかかってない。……俺に選択の余地は本当になかったってことか。
「とりあえず……酒場にでも行くか」
とくに意味はない。ただ、気分がそうだっただけだから。
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これが6時間前の出来事。船が出るまであと40分。さて、そろそろ行かなければ。
これまでお世話になっていた協会から与えられる部屋。
もともと部屋にものはそんなにないので、リュックひとつで十分である。
机から十字がついた銀のネックレスを取り出し、首にかける。
部屋の鍵を閉める。当分使うことはないのにな。この部屋は、俺が死ぬか協会から脱退するかしないとなくならない部屋。
鍵をしまい、絵に描いたような未来都市の道を歩いていく。
船に乗り込んだ。船といっても、宇宙空間を飛行する船だからバカにはならない。
時間ぎりぎりだったため、与えられた個室についたら船が動き出した。
「明日の朝には里帰り、か」
寝台についたとたん、精神的疲労からか、深い眠りに落ちていった。
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